H16-14-イ 商-審判


■ H16-14 枝(イ) ■   商-審判

<問題>
 商標の審判,登録異議の申立てに関し,次の(イ)~(ホ)のうち,正しいものは,いくつあるか。ただし,マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ) 使用権者の不正使用による商標登録の取消しの審判(商標法第53条第1項)の審決があった後,その審判の請求を取り下げたときは,その審判の請求人は,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができる。






<解答>
答え:  (商56条で準用する特167条)

解説: 
 何人も,特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決の登録があったときは,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない(特167条)。
 したがって,審決があった後でも,審決確定前にその審判の請求を取り下げた時は,同条の一時不再理効が発生せず,その審判の請求人は,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができる。
 よって,本枝は正しい。

Point!
 本条が確定審決の登録があった時点で区切ったのは,それによって一般の第三者がその事実を知ることができると考えたからです。したがって,乙が甲の特許権について,それが後願であることを理由として無効審判を請求した後,その確定審決の登録の前に,丙が甲の特許権について後願を理由とする無効審判を請求することは認めらます。
 また,この場合に,一方の無効審判の棄却審決が確定し登録されても,他方の無効審判の請求は不適法として審決却下(特135条)されることはありません。他方の請求人が自己の固有の利益のために追行してきた手続を無に帰せしめ不合理だからです(最判平12・1・27)。


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H16-14-ロ 商-審判


■ H16-14 枝(ロ) ■   商-審判

<問題>
 商標の審判,登録異議の申立てに関し,次の(イ)~(ホ)のうち,正しいものは,いくつあるか。ただし,マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(ロ) 登録異議の申立ての審理においては,審判官は,その申立てがされていない指定商品又は指定役務についても,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えた場合,商標登録を取り消すべき旨の決定をすることができる。






<解答>
答え: × (商43条の9第2項)

解説: 
 登録異議の申立てについての審理においては,登録異議の申立てがされていない指定商品又は指定役務については,審理することができない(商43条の9第2項)。申立ての対象となっていない指定商品等についてまで職権により審理を行えることとすると,いたずらに商標権者の地位を不安定にするおそれがあるからである。
 よって,本枝は誤り。


Point!
 登録異議の申立てについての審理においては,申し立てない理由については,職権で審理することができます(商43条の9第1項)。ただし,無効審判の審理の際と異なり,当事者等に意見を申し立てる機会を与える必要はない点に注意しましょう(商56条1項で準用する特153条2項参照)。



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H16-14-ハ 商-審判


■ H16-14 枝(ハ) ■   商-審判

<問題>
 商標の審判,登録異議の申立てに関し,次の(イ)~(ホ)のうち,正しいものは,いくつあるか。ただし,マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(ハ) 「a」及び「b」を指定商品とする登録商標イについて,「a」についての使用許諾を受けた通常使用権者が,「b」についてイの使用をしたことにより,他人の業務に係る商品と混同を生じさせたとしても,当該商標登録が,使用権者の不正使用による商標登録の取消し審判(商標法第53条第1項)により取り消される場合はない。






<解答>
答え: × (商53条1項)

解説: 
 何人も,使用権者が専用権及び禁止権の範囲で商標を使用し,商品の品質等の誤認又は他人の業務に係る商品等と混同を生ずるものをしたときは,使用権者の不正使用取消審判を請求することができる(商53条1項)。
 ここで,本審判は,使用権者の不正使用につき,商標権者に監督責任を問うものであるため,使用権者が使用許諾の範囲内で使用しているか否かは審判請求の要件とはならない。
 本問では,通常使用権者が,指定商品「b」について登録商標イの使用,すなわち専用権の範囲で他人の業務に係る商品と混同を生じさせているため,当該取消審判(商53条1項)により取り消されうる。
 よって,本枝は誤り。

Point!
 商53条の取消審判は,商標権の専用権・禁止権の範囲内であることが要件であり,使用許諾された範囲内か否かは問題とはなりません。ただし,使用権者が使用許諾された範囲内で使用していないということは,商標権者は簡単に認識しうることなので,「相当の注意」をしたといえる可能性は低いということになります。
 本問は,理解力を問うのに良い問題であり,論文式試験の論点として出題されうると考えられます。適用範囲・適用除外・効果の全てが,商標権者の監督義務違反という趣旨から導かれます。商53条の制度趣旨を使用権者の正当使用義務違反と考えると,規定を統一的に理解できなくなるので気をつけましょう。



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H16-14-ニ 商-審判


■ H16-14 枝(ニ) ■   商-審判

<問題>
 商標の審判,登録異議の申立てに関し,次の(イ)~(ホ)のうち,正しいものは,いくつあるか。ただし,マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(ニ) 不使用を理由とした商標登録の取消しの審判の請求に係る登録商標がローマ字からなる場合において,商標権者が,いわゆる駆け込み使用でなく,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定商品について当該登録商標を片仮名に変更した商標を使用していたことを証明しても,その商標登録は,当該審判により取り消される場合がある。






<解答>
答え:  (商50条1項かっこ書)

解説: 
 商50条でいう登録商標の使用には,登録商標の平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標を含む(商50条1項かっこ書)。
 本問においては,ローマ字からなる登録商標を片仮名文字で表示した商標を使用しているが,これらが相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じるか否かは不明である。
 したがって,商50条でいう登録商標の使用とは認められず,その商標登録は,当該審判により取り消される場合がある。
 よって,本枝は正しい。

Point!
 商50条でいう登録商標の使用には,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む」とされています。
 ただし,この社会通念上同一の商標は,商50条1項かっこ書に「以下この条において同じ」とあることから,不使用取消審判(商50条1項)においては専用権の範囲内の使用とされても,不正使用取消審判(商51条1項)では,禁止権の範囲内の使用とされるものです。そのため,論文式試験では,あてはめの際に間違わないように注意が必要です。



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H16-14-ホ 商-審判


■ H16-14 枝(ホ) ■   商-審判

<問題>
 商標の審判,登録異議の申立てに関し,次の(イ)~(ホ)のうち,正しいものは,いくつあるか。ただし,マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(ホ) 商標登録がされた後において,その登録商標が地方公共団体又はその機関を表示する標章であって著名なものと同一又は類似のものとなったときは,そのことを理由として,その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる。






<解答>
答え: × (商46条1項5号)

解説: 
 商標登録無効審判における,商標登録後のいわゆる後発的無効理由に該当するのは,その商標登録が商4条1項1号~3号・5号・7号又は16号に該当するものとなっているときである(商46条1項5号)。
 本問の登録商標が地方公共団体又はその機関を表示する標章であって著名なものと同一又は類似のものは,商4条1項6号に該当するものであるため,後発的無効理由には該当しない。
 よって,本枝は誤り。



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